ストーリー(競技の舞台設定)

ここは『国際レスキュー工学研究所※』。この研究所では、レスキュー技術の評価と訓練のために、コンテスト形式で実験が行われている。研究所内には、大地震で倒壊した市街地を模擬した1/6スケールの実験フィールドが構築されており、いままさにレスキュー訓練が開始されようとしている。今回の状況設定は次のとおりである。
状況1)ガレキの中には要救助者を模擬したレスキューダミー(愛称:ダミヤン)が数体設置されている。
状況2)ダミヤンはガレキの下にも埋没しているかもしれない。また、他のガレキは私有地にあるので、むやみに破壊し乗り越えてはいけない。
状況3)二次災害のおそれがあり、人間が立ち入ることが出来ない。
そこで、遠隔操縦のレスキューロボットの出動だ!ロボットから送られる映像を頼りに、一刻も早くガレキや障害物を取り除き、レスキューダミーを優しく助け出し、安全な場所へ運ぶことが任務である。
※今のところは、架空の研究所です。

概要

競技会場には、大地震都市災害を模擬した1/6スケールの実験フィールド(約9m×9m)があり、多くの組織のロボットレスキュー隊が一つの災害地に入ったことを想定し、2チームが同時に1面の実験フィールドにて救助活動を行います。その中には要救助者を模擬したレスキューダミー(愛称:ダミヤン)が配置されています。フィールドの中に坂道や高台なども設けています。ロボットだけでダミヤンを救い出し、安全な場所まで運ばなければなりません。
競技において、最初にプレゼンテーション(2分30秒)を行い、次に作戦会議(3分)を開いて、ヘリテレカメラ(ヘリコプタからの映像を想定した高所からの映像)で撮影するカメラ映像を基に、ダミヤンの救助作戦を立てます。その後、レスキュー活動(ファースト・セカンド10分。ファイナル12分)を行います。
各チームのロボットは、ロボットベースから出動し、レスキュー活動時間内に3体のダミヤンを連れ帰らなければなりません。オペレータはコントロールルーム内でロボットに搭載されたカメラの映像だけを頼りにロボットを操縦します。ただし、自律型ロボットを使うこともできます。また、競技中に、コントロールルーム間通信装置を使用して、チーム同士で連絡を取ることもできます。 

第19回競技会予選における変更点

  • 容体判定得点配分変更
    →最大点数を20点から25点に変更し、容体判定成功1つごとに5点が与えれれる。
  • 支援物資提供ミッションの新設
    →ダミヤンに支援物資が届けられた際、ヒーリングインデックスとしてフィジカルポイントが20点回復する。
  • 段差路面(バンププレート)追加

    ※写真は一例
  • オペレータ(ミッションメンバー)の人数制限
    →最大3人とする。
  • エンジニア(ミッションメンバー)の新設
    →ロボット操縦の補佐、整備を行う。競技中にロボットのコントローラに触れることは認められない。
  • プレゼンテーション時間変更
    →3分から2分30秒へ変更となった。。

実験フィールド

実験フィールドとコントロールルームは隔壁によって隔てられ、キャプテン、オペレータ、コントロールルーム間通信者はコントロールルーム内で活動を行います。
実験フィールド内のブロックは複数のエリアで構成されています。ダミヤンはいずれかのエリアに配置され、チームは指示されたダミヤンを発見し、救出を行います。ダミヤンの周囲には複数のエリア内ガレキが配置されていることもあります。ガレキの中には、ダミヤンを覆う倒壊した家屋を模した特殊ガレキもあります。道路上には凹凸のある箇所やロボットがすれ違う場合もあり、ロボットの性能や操縦技能が問われます。

チームメンバー

競技会において、フィールド裏手、チーム控え室および競技会場等出入りを制限される場所に入ることができる。競技開始前および終了後、ロボット等を運搬するために競技会場に入場 することができる。
なお、チームメンバーは、15 名を上限とする。

ミッションメンバー

競技会において、競技会場に入り競技を行うことができるメンバー。
ミッションメンバーは、チームメンバーの中から登録し、8名を上限とする。
ミッションメンバーはそれぞれ以下に示す担当を務める。
(一部は兼務可能)

・キャプテン
→チームの指揮を執り、チームを総括する。リスタートの要請を行う。
・スピーカー
→ロボットおよび戦術のプレゼンテーションを行う。
・オペレータ
→ロボットの操縦、操縦の補佐、整備を行う。オペレータのみロボットを操作することが出来る。3名を上限とする。
・エンジニア
→ロボット操縦の補佐、整備を行う。競技中にロボットのコントローラに触れることは認められない。
・ヘルパー
→リスタートの際にフィールド上のロボットをロボットベースまで運搬する。競技中はロボットの整備を行うことはできない。
・通信デバイス管理者
→遠隔操縦ロボット用無線通信システムおよびそれに関連する機器の管理を行う。
・コントロールルーム間通信者
→相手チームと連絡を取り合い、レスキュー活動が円滑に行われるようにする。

ロボット

ロボットにはカメラが搭載されており、オペレータはフィールドを直接見ずに、カメラの映像だけを頼りに無線で遠隔操縦を行います。複数台のロボットはレスキュー活動開始時にはロボットベース周辺に待機しており、スタートとともに、通路を通って被災区域内の現場に向かいます。作戦会議開始時点までに全機がロボットベースの枠内に収まることが求められています。しかし、台数、重量などには制限は設けられていません。できるだけ自由な発想を促すという方針です。

レスキューダミー(愛称:ダミヤン)


要救助者を模擬した身長20〜30cmの人形で、柔らかい素材でできた柔らかい体をしています。加速度センサを内蔵しており、その信号をフィールド外のコンピュータへ電波で送信します。それに基づいて痛みや不快感を計算して画面に表示し、フィジカルポイントを評価します。各チームが救出すべきダミヤンの数は1競技3体です。
また、各ダミヤンには、「顔の色(頭部の一部の発色」「音声(周波数)」「鳴動パターン」「二次元コード(QRコード)」の4つの識別因子が設定されており、それらの情報から「歩行」「負傷」「呼吸」「脈動」「意識」の5つについて容体判定を行います。

点数評価

ポイント内訳

競技ポイント(900点満点)
= ファーストミッション確定ポイント(450点満点)+ ファイナルミッション確定ポイント(450点満点)
総合ポイント(1500点満点)
= 競技ポイント+ 審査員ポイント(600点満点)

ミッションごとのポイント詳細

競技は救出中の各ダミヤンに対するダメージ(フィジカルポイント)と救出状況(ミッションポイント)を総合した点数で評価されます。ダメージはダミヤンに内蔵されたセンサで判断します。また、救出状況は,救出完了(ダミヤンを道路へ救出した)、搬送完了(ダミヤンをロボットベースまで搬送した)、容体判定(ダミヤンの識別因子に基づいて正しく容体を判定した)の3段階で評価します。
なお、各ミッションごとの確定ポイント(450点満点)は,以下の二つのポイントを足したものです。

ミッションポイント (50点満点/体)
救助作業の達成度を評価します。内訳は以下のようになっています。

・「救出完了」15点
ダミヤンをエリアから道路へ完全に出すと与えられる。

・「搬送完了」10点
ダミヤンをロボットベースまで連れ帰ると与えられる。

・「容体判定」25点

容体判定の正解数に応じて与えられる。判定は「QRコード」「目の色」「鳴動パターン」「音」の4つの因子を識別したうえで、上の表の5つの項目に関してダミヤンの容体判定を行う。なお、容体判定ポイントの内訳は、各項目を正しく識別することで項目毎に5 点が与えられる。

・「支援物資提供」最大20点
救出を指示されたレスキューダミーに支援物資を提供することで、レスキューダミーのヒーリングインデックスとして、フィジカルポイントが最大20点分回復する。

フィジカルポイント (100点満点/体)
ダミヤンの体力を表しています。時間の経過と共に値が徐々に減っていき、ダミヤンに内蔵されたセンサが力や衝撃を検出する度に値がさらに減ります。これらは、ダミヤンごとに評価され、最初の値は100点です。
「支援物資提供」によるヒーリングインデックスによりフィジカルポイントの回復が行われた場合であっても、フィジカルポイントの最大値が100点を超えることはありません。

画面の見方

反則

レスキューに反する行為、フィールドやダミヤンの破壊、危険行為などに対しては、審判の判断で反則が採られます。

反則の概要

A. 反則の種類
反則は「イエローフラグ(警告)」「レッドフラグ(退場)」「ブラックフラグ(失格)」の3 種類がある。
B. 反則の宣告
反則の宣告は、該当するロボット・チームメンバー・チームに対してその色のフラグを提示し、主審が宣告することにより行う。また、宣告時にその具体的内容を簡潔に説明する。
C. 反則の判断と決定
反則であるかどうかの判断は副審もしくは主審が行い、主審がこれを決定する。主審の決定に従い、主審もしくは副審が反則を提示する。
D.反則内容の確認
競技後に、キャプテンは自チームが宣告を受けた反則に対して、主審にその具体的内容の説明を求めることができる。

フラグの種類

イエローフラグ(警告)
A. 審判が望ましくないと判断した行為に与えられる。
B. ロボット 1 機ごとに与えられる。
C. 同一のロボットに対し、1 回のレスキュー活動において2 回イエローフラグが与えられた場合レッドフラグとなる。
レッドフラグ(退場)
A. 極めて危険な行為、コンテストのフィロソフィーおよび開催趣旨に反する明確な、あるいは、 意図的な行為に与えられる。
B. ロボット 1 機ごとに与えられる。
C. レッドフラグが与えられたロボットは退場扱いとなりその競技に復帰することはできない。
ブラックフラグ(失格)
ブラックフラグが宣告されると、その時点でチームは失格となり競技を中止しなければならない。 競技中にチームメンバーやチーム全体がコンテストのフィロソフィーおよび開催趣旨に関する重大な違反をしている場合に与えられる。
A. チームに対して与えられる。
B. 自チームの競技時以外の違反行為でも、与えられる。

本選参加チームの選抜方法

25チームから応募があり、書類審査を通過した24チームが6月30日の岡山予選(17チーム参加)および7月7日の東京予選(7チーム参加)に参加しました。 予選の結果を受けて本選へ選抜される14チームが決まりました。
本選参加チームは「こちら」をご覧ください。
選抜方法は以下のとおりである。

確定ポイント枠(9チーム)
・主催者枠を除く岡山予選における確定ポイント最高点1チーム
・主催者枠を除く東京予選における確定ポイント最高点1チーム
・主催者枠および上記2チームを除く両予選における確定ポイントの上位7チーム
主催者枠(1チーム)
・書類審査時に選出された1チーム
チャレンジ枠(4チーム)
・上記チーム以外の中からアイデアなどが評価された4チーム
※ただし、確定ポイント0点のチームを除いた順位で評価を行うため、確定ポイント枠の上限にチーム数が満たない場合は、チャレンジ枠が増枠されます。

表彰

優秀な成績を収めたチーム、ロボット、メンバーを様々な賞で表彰しますが、本コンテストで最も意義深い のは「レスキュー工学大賞」です。この賞は、本選の総合ポイントだけではなく、書類やヒアリングも含む総合的な評価で決まります。

主催団体からの授与
・レスキュー工学大賞
→レスキューロボットコンテストで最も意義深い賞。詳しくは「こちら」をご覧ください。
・ベストパフォーマンス賞
→最も高い総合ポイントを獲得したチームに与えられる。
・ベストプレゼンテーション賞
→チーム戦略などについて、優れたプレゼンテーションを行ったスピーカーに与えられる。
・ベストチームワーク賞
→レスキュー活動の模範となるチームに与えられる。
・ベストロボット賞(日本ロボット学会特別賞)
→移動および救助機構、遠隔操縦システムなどに優れたロボットに与えられる。
・ベストテレオペレーション賞(サンリツオートメイション賞)
→遠隔操縦技術や遠隔操作システムの優れたチームに与えられる。
・モビリティアイデア賞
→応募時の書類とファーストミッションのプレゼンテーションに基づき「平常時にも利用でき、かつ、災害発生時に、被災者救出および被災生活の質向上に寄与する機能をもつ、新しいモビリティ機器」に関するアイデアが優れたチームに与えられる。
関連団体からの授与
・inrevium杯
・消防庁長官賞
・日本消防検定協会理事長賞
・計測自動制御学会特別賞
・日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門一般表彰
・第十五回竸基弘賞レスキューロボットコンテスト奨励賞((特非)国際レスキューシステム研究機構)

競技説明 動画

第17回の競技会本選で使用された競技説明の動画となります。